パーキンソン病の治療はL-dopaが基本であること、そしてドパミンアゴニストが大きな柱になると思います。MAO-B阻害薬はすでに紹介しましたが、それ以外にもCOMT阻害薬、イストラデフィリン、ゾニサミド、抗コリン薬、アマンタジンなど色々とあります。今回はその他の薬についてこれまた私見を交えて紹介します。
① COMT阻害薬
COMT阻害薬は、日本ではエンタカポン、L-dopa+エンタカポンの合剤、オピカポンの3種類が使用できます。Wearing offが出てきた場合に、L-dopaの内服方法を変えることなくエンタカポンを追加するだけで改善が期待できるのが良い点です。しかしながら、L-dopaの3回内服なら3錠、5回内服なら5錠といった感じで内服量が2倍になってしまうという問題があります。
その後はL-dopa+エンタカポンの合剤が出ましたので、錠剤を増やさなくて良くなり使いやすくなりました。しかしながら、L-dopa+エンタカポンは合剤になったため、L-dopa単剤と吸収が変わってしまったようでピークの濃度が低くなってしまいました(添付文書参照)。多くの患者さんではそれほど大きな問題はないと思いますが、中には「ONにならなくなった」とか「効いている感じがなくなった」といわれるケースも出ました。あとはエンタカポン単剤だとジェネリックがあるので安いですね。
さらにその後にオピカポンが登場しましたが、オピカポンは1日1錠だけで良いという特徴があります。L-dopa+エンタカポンの合剤だと、L-dopa 25 mgとか50 mgにしたいといった微調整が難しいですが、オピカポンの場合はL-dopaを微調整するだけで良いのが便利です。最近はオピカポンが使いやすいので良く使用されていると思いますが、問題としては空腹時にL-dopaと離して内服しなければ吸収が悪くなる点です。進行期の方は1日に5,6回内服している人も多いので、L-dopaと離して内服は事実上不可能といっていいでしょう。食後内服はかなり吸収が落ちるようですが、L-dopaと同時内服はそれほど吸収が悪くなるわけではないようです。私は眠前にL-dopaと同時内服もOKとして処方していることが多いのですが、他の先生も同じような処方方法をされているようです。
オピカポンの開始タイミングについては、L-dopaの内服が4,5回になってから開始するケースが多いですが、L-dopaの効果が全体に上がってしまってジスキネジアや幻覚などを生じることもあるので注意です。Antonini先生の講演では、ADOPTION Studyの結果ではL-dopaの3回内服の時点でもオピカポンで十分に効果が延長されるということを紹介されていました。どうせ進行期になると入れるでしょうし、内服回数があまりに多いと入れたときにトラブルも起こりやすいので、早めから入れておくのもいいのかもしれません。ちなみにSTRIDE-PD試験(Ann Neurol. 2010 Jul;68(1):18-27)では早期のCOMT阻害薬はジスキネジアを増やすので良くないという結論でしたが、L-dopaを調整して減量すればそれほど悪さをしないのではと個人的には思います。
すっかり長くなったので今日はこの辺で…。
その2に続きます。
